前回の記事では、パラグアイの悪口を散々書いてしまった。正直まだまだ書きたりない気もするが、今回は一呼吸おいてパラグアイのポジティブな一面を書いてみようと思う。
ちなみに前回の記事「パラグアイ生活で大変だったこと」は下記を参照されたい。
パラグアイに8年住んで感じること パート1
「郷に入っては郷に従え」とはいうものの、何年経っても理解できないことはある。海外生活で直面する文化の違いの話だ。海外生活が20年を超え、カルチャーショックを受けることはまずなくなったものの、未だに理解しがたい、賛同できないことはあるものだ。
南米移住を考えている方、スペイン語学習を考えている方、デジタルノマドを目指す方等々、是非参照されたい。
パラグアイ生活で感じる良いところ6選
1.物価が安い
まず第一に挙げたいのは、やはり生活コストの低さだ。もちろん近年の円安の影響で「激安」とまではいえないが、外食を控え、地元産の食料品を中心に暮らすなら、かなり出費を抑えた生活を送ることができる。
以下は、私が通うマーケットでの平均価格だ。
- 卵30個 30,000Gs(約¥600)
- 牛肉1キロ 56,000Gs(約¥1,120)
- 鶏肉1キロ 27,000Gs(約¥540)
- 玉ねぎ1キロ 5,000Gs(約¥100)
- トマト1キロ 7,000Gs(約¥140)
- お米1キロ 5,000Gs(約¥100)
牛肉は部位によって値段が変わるが、日本で「100g500円」の牛肉を思い浮かべれば、その差は歴然だろう。
その他の生活費は以下の通り。
- インターネット:月110,000Gs(約¥2,200)
- 電気代(夏場):200,000Gs(約¥4,000)
- 家賃:首都アスンシオンで約300ドル、小都市なら約200ドルで快適なアパート可
我が家は2ベッドルームのアパートで家賃は約200ドル。インターネット代・電気代・食費を含めて、月の生活費はふたりで800ドル程度に収まる。
とはいえ、これは外国人にとっての話だ。
パラグアイの最低賃金は2,899,048Gs(約¥58,000)。多くの人々は日給20ドル以下で生計を立てている現実を忘れてはいけない。

ちなみに隣国アルゼンチンではいまだに超インフレに苦しんでおり、その様子はアルゼンチン在住の友人マサタカ君が下記のブログで解説しているので参照されたい。
【海外移住】 アルゼンチンで感じたメリットとデメリット
私がスペイン語もわからず南米パラグアイに引っ越したのが2018年の7月。自分の人生の分岐点ともいえる出来事から早いもので丸7年が経った。
2.永住権取得が容易
永住権が取りやすいのもパラグアイの魅力の一つだ。
日本人に必要だったのは、パスポート、無犯罪証明書、おかしな感染症にかかっていないことを示す診断書、そして地元銀行に5,000ドルを預けること。ちなみにこの5000ドルは1年後に利息付きで帰ってくる。
現在は法律が改正され、5,000ドルの預託は不要になったが、最初に取得できるのは2年間の在留許可のみ。2年後に改めて申請することで永住権を得られる仕組みに変わったようだ。
それでも、他国に比べれば遥かに取得は容易。南米に拠点を持ちたいノマドや移住希望者にとっては、大きな魅力だ。
3.南米諸国への移動が簡単
南米大陸のど真ん中に位置するパラグアイは、「南アメリカのハート(心臓)」とも呼ばれる。それもあって、他の南米諸国へのアクセスも良い。
例えば、ブラジルのサンパウロや、アルゼンチン・ブエノスアイレス、ボリビア・サンタクルスなどは長距離バスで20時間ほどで行ける。料金も、100ドル程度とお手頃だ。
さらに、南米を代表するメガ観光地であるイグアスの滝も、アスンシオンからならバスでわずか6時間程。南米を巡る旅の拠点として、パラグアイは魅力的な地だと思う。

4.パラグアイ人の性格― 温厚さとおおらかさ
十把一絡げにすべてのパラグアイ人の性格を決めつけることはできないが、一般的にパラグアイ人は、南米の中でも特に温厚な国民として知られる。良く言えば、おおらかでフレンドリー、悪く言えばいい加減な人が多いといったところか。
アポなしで訪れても、嫌な顔一つせず椅子と冷たいテレレ(パラグアイのお茶)を準備してくれたり、ランチまで用意してくれることもある。逆に、忙しくて何もできない時は「すまん、今本当に忙しいんだ。もてなせなくてごめんね」と逆に謝られる。アポなしで行ったのはこっちなのだが。
こういったパラグアイ人の人懐っこさ、温厚さは、長旅に疲れた旅人にとっても心地良く感じるに違いない。
5.パラグアイの治安の良さ
パラグアイの治安は一般的に非常に良好だ。パラグアイ人同士が、路上で言い争いをしている姿を見ることはほとんどないし、銃器を使った強盗事件もあまり聞かない。夜間に外を歩いていて危険を感じたこともない。

さらに、政治的にも比較的安定していて、内戦や暴動の気配は8年間一度もなかった。デモは時折起こるが、交通機関が麻痺するほど深刻なものではなく、どちらかというと路上のお祭りのような感じだ。
海外移住を考える人にとっても、治安の良さはパラグアイの魅力の一つだと思う。
とはいえ、外国人は好奇の視線を集めやすいうえに裕福だと思われているので、注意するに越したことはない。アルゼンチンとチリから来た私の友人ふたりとも空き巣に入られ電化製品類をことごとく盗まれていたし、私自身空き巣の被害に遭ったことがある。
それで、パラグアイでは「家を持ったら犬を飼え」と言われる。番犬がいる家に空き巣は入りづらいからだ。
6.人種差別の少なさ
偏見が全くないと言えばウソになるが、アジア人や黒人への差別は比較的少ない。
ブラジルやその他の南米諸国とは異なり、歴史的にパラグアイにはアフリカ人奴隷がほとんど入ってこなかった。さらに先住民であるグアラニー族とスペイン人との混血が比較的早い段階で進んだため先住民の奴隷化も他国ほど進まなかった。
そういった歴史背景があってか、黒人に対する偏見は少ない。南アフリカ人の妻は、どこを歩いていても「髪がかわいい」と褒められ、外国人が珍しいのか、セルフィーを頼まれることすらある。
それに、第二次大戦前後に日本からパラグアイへ移住した日系人の評判も良く、親日的な国で、日本食レストランは意外なほど多く繁盛している。
こういった雰囲気は、日本人の旅人にとっては特に居心地がよく感じるかもしれない。

その一方で、パラグアイ人が距離を置く相手としてよく挙げるのはアルゼンチン人、ドイツ人、韓国人。隣国とのライバル意識やビジネス上の摩擦から、必ずしも好意的ではない。
まとめ
物価の安さ、永住権の容易さ、南米各国へのアクセス、人々の温厚さ、安定した治安、そして差別の少なさ。散々悪口を言いつつも、8年も懲りなくパラグアイに留まるには訳がある。
スペイン語学習を考えている人も、南米旅行を計画している人も、是非パラグアイに足を延ばしてみてほしい。




今回も興味深く読ませていただきました。
一度パラグアイに行ってみたいという気持ちになりました。
パラグアイの永住権を取得すればブラジルでも就労出来ると聞いたのですが本当ですか?
ムラさん、
コメントありがとうございます。
パラグアイとブラジルは、メルコスール(Mercosur) 加盟国なので、パラグアイ国籍を持つ人はブラジルやアルゼンチンでも比較的容易に就労できるようです。でも、日本国籍の人がパラグアイの永住権を取得しただけでブラジルで就労することはできないとのこと。別途、就労ビザを申請する必要があるようです。